KDA企画

ジュンさんインタビュー


ジュンさん

「「1人箱根駅伝」を走破するランナー:ジュンさんにインタビュー」

2020年8月26日公開

ネットワーク駅伝にご参加を頂きご縁ができたジュンさん。その中でもフルマラソンを超える距離を走られている姿に驚愕し、知人を通じてご紹介いただき、今回の運びとなりました。ご協力ありがとうございます。

特に「1人箱根駅伝」なるワードが飛び出しましてこれはぜひお話をお伺いしたいと思い、今回インタビューさせて頂きました。

生涯スポーツにおけるランニングは超長距離を走られる方にも目的は色々あります。ただ競技パフォーマンスだけを追い求めている訳ではなく、景色を楽しむ、場所や環境を楽しむなどランニングを通じての楽しみも多く感じ取られています。

豊富なランニングライフ。その全てを今回だけではお伝えできませんが、そのさわりだけでも伝わればと思います。

それではジュンさん、宜しくお願い致します。


Q.早速ですが「1人箱根駅伝」とはどんな感じで行われていますか?

ジュン:私が1人箱根駅伝をやろうと決意した理由は、もともと箱根の温泉が好きでそこまで走って温泉に入ったら気持ちいいだろうなぁと、ふと思ったことがきっかけです。

それならば箱根駅伝のコースを走って行こうと決めて、8年くらい前から年に数回おこなっています。主に往路(大手町〜芦ノ湖)をおこなうことが多いです。


Q.季節や時間帯、給水などはどうされてますか?ゴールされたらどうやって帰ってこ
られますか?

ジュン:私は寒いのが苦手なので、冬以外の季節でおこなっています。

時間帯は、箱根に午前中のうちに到着するようにしているので、大手町を前日の夕刻にスタートして夜通し走る感じになります。

給水等に関しては、もちろんお腹も空くし喉も乾くので、道中のコンビニに寄って済ませてます。温泉に入ってからの着替えなどを持って行くためにリュックを背負っているので、その中にサプリメントなどは忍ばせてます。

ゴールしたあとは、ビールとかお酒を飲んで帰るので、のんびり電車で帰ってます。


Q.往路コースの中でここが良いというポイントはありますか?

ジュン:1人箱根駅伝の往路コースでは、私は常にゴールした後の温泉のことやお酒のことをイメージして走ってます(笑)

往路コースの良いところは、都会の喧騒からだんだん離れていって、海とか山などの自然の景色が広がっていくところですね。

箱根に近づいて、川のせせらぎが聞こえてくるとテンションが上がります。


Q.夜中のランということでコースの明るさは如何ですか?

ジュン:コース上の明るさは、湘南海岸に出てから大磯までの間と箱根の峠は足元が暗いので、ヘッドライトをつけてます。それ以外はライトなしでも大丈夫です。


Q.東京からスタートして最後に箱根の山は辛くないですか?

ジュン:もちろん辛いです。東京から箱根の山の入口まで、既に90kmくらい走ってますから、山の上りはひたすら歩いてます。それに上りは苦手ですから(笑)峠を越えて下りになったらまた走り始める感じですね。


Q.ある意味、安心しました(笑)天下の険ですよね。歩くのも一苦労だと思います。
上りが苦手だと仰有っていますが、過酷な上りレースは走られてないですか?

ジュン:富士登山競走に2回挑みましたが、2回とも五合目までで挫折しました。この時に上りは苦手だと実感しました(笑)


Q.「1人箱根駅伝」を始める前から結構な距離を走られていたのですか?

ジュン:私がウルトラマラソンを走り始めたきっかけは、お恥ずかしながら離婚してからなんです。独り身となって、何か自分に試練(挑戦)を与えたくて。そこで思いついたのが24時間マラソンでした。約1.2kmの周回コースをグルグルと24時間走る大会です。

それからは毎年100kmマラソンや24時間マラソンなどに出場してます。


Q.試練がスタートなんですね・・・最初からその試練を乗り越えられたんですか?

ジュン:いい質問ですね。

残念ながら最初からうまくいきませんでした。24時間マラソンを甘くみてました。24時間あれば100km以上は楽勝だな、とたかを括ってました。結局、夜中に眠ってしまい気づいたら朝になっていて、走った距離は100kmにも届かず93kmでした。

それからはストイックにトレーニングを続けて、今では寝ずに24時間走ることができるようになりました。そんなこともあって、1人箱根駅伝も走れるようになったのだと思います。


Q.想像よりも数字が大きかったです(笑)それまではフルマラソンなどの経験は豊富でしたか?

ジュン:学生の頃は陸上で短距離がメインでした。社会人になり運動をやめてから一気に身体が鈍ってきてしまい、ジョギングを始めたのがきっかけでマラソンを始めました。

マラソン大会に出るようになってからのマラソン歴は25年くらいです。毎年、フルマラソンをはじめ、ハーフマラソンや10kmマラソン、そして駅伝などにも出ています。24時間マラソンに出場するまでは、フルマラソン以上の距離を走ったことはありませんでした。


Q.身体が鈍ってたところからマラソンを走れるようになるまではどのようなステップを踏まれましたか?

ジュン:社会人になってからは3年くらい全く運動してませんでした。これではヤバいと思い、昼休みに30分くらいのジョギングを始めて仕事が休みの日も時々10km程度のジョギングをおこなってました。たまに20kmとか。あくまでも健康維持が目的でした。

あとは脚を中心に筋トレもしてましたね。それから数年後、テレビで観たホノルルマラソンの特番をきっかけに充分なトレーニングを積まないまま、翌年のホノルルマラソンに出場しました。

そしてあえなく撃沈。タイムは5時間9分でしたが。これが私の初の大会で初のフルマラソンです。ここから私のマラソン人生が始まりました。


Q.今は「1人箱根駅伝」以外にもチャレンジしたいことはありますか?

ジュン:1人箱根駅伝のことになってしまいますが、往路を走ったあとに芦ノ湖で宿泊して、次の日に復路を走ったことは1度だけあるのですが、今度は宿泊せずにそのまま往復して東京まで戻ってみたいです(笑)

1人箱根駅伝以外では、四国のお遍路八十八ヶ所を走って巡りたいです。あとは海外のウルトラレースに出てみたいですね。


Q.これまた壮大で、難易度が高いです。ところで「1人箱根駅伝」を所々ご一緒したいという方が居られた場合、企画としてありですか?もちろん帯同は自己責任で。他にも琵琶湖1周とか、別の箇所でのチャレンジは考えないですか?

ジュン:もちろん1人箱根駅伝をどこでもよいのでご一緒して頂ける方がいたら大歓迎です。いつも1人ぽっちで孤独なので...

佐渡島1周(約210km)はしたことあります。琵琶湖1周(約200km)もいいですね。あとは時間があれば、青森から山口の本州縦断もしてみたいです(笑)


Q.本州縦断の際は加古川にお立ち寄りください(笑)1人箱根駅伝もそうですが、呼び掛けると各地でランナー仲間がひょいっと参加できそうですね?

ジュン:そうですね。全国にランナー仲間がポチポチいますが、地方に行く用事がある時は一緒に走ったりしてます。ランナー仲間がどんどん増えると楽しいですよね。


Q.エベレストランのお話も伺っても宜しいですか?

ジュン:まずはエベレストマラソンのことからお話します。エベレストマラソンは4年前に出場しました。

本当は別の大会、サハラレース(砂漠を7日間で250km走るステージレース)に4人チームで挑むはずでしたが、メンバーが集まらずに断念しました。そしたらランニング仲間から「エベレストマラソンというのがあるけど出てみないか」と誘われました。走る距離はフルマラソンでコースは下るだけだし、エベレストの頂上まで行くわけじゃないからと。

先述したように私は寒いのが苦手で、トレイルランニングもろくすっぽやったことがないし、富士山も五合目までしか登ったことがないしと悩んだのですが、エベレストなんてこんなことがない限り行かないだろうし、良い経験にもなるかなと思い出場を決意しました。

遠征期間は最低3週間は必要になります。2週間かけてスタート地点となるエベレストBC(ベースキャンプ:頂上に向かう人がキャンプを張る場所)まで、エベレスト街道をトレッキングして行かなければならないのです。

エベレストBCの標高は約5400m。その時の気温はマイナス14℃で、酸素レベルは約50%でした。そこから標高約3400mにあるナムチェバザールという村まで、42.195kmを下っていく大会です。

下るといってもアップダウンがかなりあって、累積標高は富士山くらいにもなるんです。結局、私は10時間10分でゴールしました。フルマラソンですよ(笑)

日本ではまだあまり知られてない大会で、出場した日本人はまだ12名くらいしかいません。また挑戦したい大会です。

話すとかなり長くなってしまうほど魅力とエピソードが詰まったレースです。


Q.持っていった荷物も背負って走るのでしょうか?終わったあと、凄まじい筋肉痛とかきませんか?そもそも1人箱根駅伝もそうですが、強烈なダメージはないですか?

ジュン:荷物ですが、トレッキング中(エベレスト街道の往復)の時は、ルクラ(エベレスト街道の入口)でポーターさんを雇いました。トレッキング中に必要なもの、飲料水や軽食、すぐに取り出したいものはリュックで背負って、その他の荷物はポーターさんに運んでもらいました。走る時はいつも大会で走る時と同じ感じですね。ただ、寒いので厚着はしましたが。

筋肉痛とか疲労感ですが、エベレストマラソンの時は酸素が薄いので少しでもペースを上げると苦しくなりますし、アップダウンも多かったので、かなりのんびりペースでした。ですから走り終わったあとは、多少の筋肉痛はあったものの、疲労感のほうが強かったです。

1人箱根駅伝の時は、さすがに走った距離も長いですし、山も越えなきゃならないので、脚が全体的に筋肉痛になります。たまに足裏も痛くなったします。それほど重度ではないので、痛みもすぐに落ち着いてはきますけどね。


Q.特別なケアや訓練はされてますか?

ジュン:身体が硬いので、毎日ではないのですが、全身のストレッチを心掛けてます。走った後は脚のストレッチを重点におこなってます。

あとは、少しでも身体に違和感を感じたらマッサージを受けに行っていて、痛みがある場合は鍼を打ってもらったりもしてます。

エベレストマラソンの時も、かなりの疲労感が残っていたので、カトマンズ(ネパールの首都)に戻った時に、全身マッサージをしてもらいました(笑)


Q.1度の「1人箱根駅伝」でどれくらい回復期間を必要としますか?

ジュン:1人箱根駅伝の時の回復期は、だいたい3日間くらいで体調も筋肉痛も回復してきます。そして様子をみながら少しずつ走り始めます。


Q.やって良かったなーと思う時はどんなことがありますか?

ジュン:自分が本当に走ってみたい大会や走ってみたいコースに挑戦した時ですね。

どうしても最初は無理だろうな、とかネガティブな思考も出てきちゃいますが、それを乗り越えて挑戦して、たとえ失敗して後悔したとしてもよい経験になりますしね。



あとがき

お伺いしていて伝わってくるのは、これはスゴい、とんでもない距離だ、コースだと聞いて驚くような距離を楽しんでチャレンジされてる雰囲気です。

他にも驚きのチャレンジ、エピソードがあるようですけど、今回はここまでにさせて頂きます。もっと深く知りたい、聞きたいこと、企画したいことがたくさん出てきそうです。

こちらのインタビューは生涯スポーツ事業の一環で行われました。もっと詳しくお話を聞きたい、関連イベントを開催して欲しいなどのご要望があればこちらからご連絡ください

今後も多くの魅力的な方々にインタビューの協力をお願いさせていただきます。また、自分の話も聞いてほしい、形に残したいという「ご依頼」の場合は有料にてお引き受けしますので先ずは「お問い合わせ」にてご相談ください。


インタビュアー:KRC代表 神屋伸行