KDA企画

木庭和彦さんインタビュー


木庭和彦さん

トライアスロンのことをメインに伺いました」       2020年6月6日公開

インタビュアーと同い年で、中学生の時から何度もレースでご一緒した木庭和彦さん。高校、大学と地域は離れ、お会いできる機会は少なかったですが、フェイスブックなどでも交流が続き今に至ります。

地元、高砂で陸上教室、コーチとして地域スポーツを支えたり、トライアスロンにチャレンジされています。

そんな木庭さんに色々伺ってみました。

自己紹介

3歳から地元のサンモールスイミングクラブで競泳を始めました。高砂市立鹿島中
学校入学後、陸上競技を始めましたが、中学校の間は水泳、陸上競技の両方をし
ていました。

鳥取県立由良育英高校(現在の鳥取中央育英高校)、近畿大学で陸上競技を続
け、大学卒業後、某金融機関に一般社員として入社。社会人一年目から恩師の誘
いを受け、高砂市陸上教室で講師、北浜JRCでコーチとしていずれも小学生を対象
の指導に携わり、現在も高砂市陸上教室で指導を行なっています。

27歳の時に淡路島の洲本に転勤となり、転勤先で知り合ったトライアスリートに声を
かけられ、トライアスロンと出会いました。入社8年目の年末に退職し、翌年9月から
兵庫県の職員として勤務しています。



Q.トライアスロンの中ではやはりランが得意ですか?

木庭:やっぱりランが得意ですね。バイクで置いていかれた選手にも『待ってろよ?』という想いでランに入ってから追いかけていました。

またバイクの後、最後にランなので、思うように走りきれずにペースダウンする選手もいます。速さよりも強さを求めた走りを心がけていました。


Q.トライアスロンって過酷なイメージがあります。やはり日々のトレーニングも厳しい
のですか?兵庫県にはトライアスロン愛好家は多く居られますか?


木庭:トライアスロンは様々な距離の大会があります。ロングディスタンスはスイム3.8km前後、バイクは160km前後、ランはフルマラソン。

ミドルディスタンスはロングディスタンスの大体半分くらいの距離となります。

ランはハーフ位の距離の事が多いですね。

○ショート
スイム1.5km、バイク40km、ラン10km

○スプリント
3つの種目の距離がショートの半分。

という距離のレースに分けられます。それぞれ自分のライフサイクルに合った種目を目指してトレーニングをしています。

オリンピックや国体、日本選手権が行われるのがショートのカテゴリです。私も専門的に取り組んでいたのがこの種目です。

スプリントは中高生が多く取り組んでいます。

マラソンと同じでゴール出来る強度でしかレースをしないので、レース中ずっとしんどいという訳ではないです。

トレーニングも私の場合ランは平日の出勤前、スイムは週に1、2度、スポーツジムで1時間?2時間くらいです。バイクは週末の早朝に2、3時間、50kmから80kmくらいを走ります。

スイムは競泳仲間とする事もありますが、基本的に1人でトレーニングしています。

兵庫県には北京オリンピックまでトライアスロンの実業団が存在していました。そのチームの監督は報徳学園高校陸上部のOBの方なので、トレーニング方法を勉強させて頂くためによく足を運びました。

国体では兵庫県の監督として指導して頂いた事もあり、とても光栄に思っています。兵庫県は陸上王国として知られていますし、瀬戸内海、日本海に挟まれ海もあります。

またロードバイク に乗るみんなが憧れる淡路島一周、通称「アワイチ」が気軽にできる環境もあり、競技人口は全国でも多い方だとおもいます。


Q.競技環境や練習環境はある方ですか?


木庭:競技環境は正直厳しいかもしれませんね。10年くらい前までは淡路島でトライアスロンや、スイムとランだけのアクアスロンをやっていましたが今は無くなり、須磨や芦屋浜でのアクアスロン、赤穂海浜公園の池や、加西の善防中のそばの池を使ったトライアスロンくらいしか無くなってしまっています。

岐阜国体は長良川を使ってスイム、河川敷を使ってバイク、ランを行いトライアスロンが出来ました。この辺りを有効活用出来れば面白いかと思います。

練習環境は恵まれていると思います。バイクでは先に話した淡路島や、北に向かえば峠もたくさんあって追い込めます。またランでは平荘湖、加古川河川敷、三木防災公園を始めとした各種公園も充実していて、JR沿線に距離走するコースなども多く、工夫すればたくさんのアレンジが効きます。

スイムはもっぱらスポーツジムがメインですが、夏には日岡山、浜の宮市民プールを使って練習する事もあります。別府にはスポーツ交流館があり、温水プールが使えますし有り難いですね。


Q.トライアスロン未経験者が参加するのはある程度の運動経験や実力が必要なイメージがありますが如何ですか?


木庭:そうですね。どうしても3種目というのが、心理的に不安を与えるのだとおもいます。未経験者て不安を持つのは特にスイムでしょうか。

海で泳ぐ事がほとんどですが、流水プールを周回したり、25mプールを往復する大会もあるので、体験するのにはもってこいです。

また距離ではスプリント競技なら、未経験者でも参加しやすいと思います。スイム750m、バイク20km、ラン5kmなので気軽に参加しやすいです。みなさん如何ですか?

次にロードバイクがネックになってくるのではないでしょうか。私もそうでした。『トライアスロンの自転車』としては売って無いですからね・・・


ロードバイクを使用するのですが、安くても10万前後はします。間口を広げ、新たな競技者を獲得するには、最近増えてきた中古バイク屋さんとのタイアップがいいのでは無いかと考えています。

まずレンタルをして競技に参加して、その後購入に至れば割引くなどの制度があればいいなと思います。少し前まではグリーンピア三木(現ネスタリゾート)で大会があり、サイクリング用のバイクを借りる事も出来たのですが・・・


Q.最近は海で泳げる場所も減ってると思いますが、トレーニングはプール中心で、海で練習する機会は少ないですか?

木庭:スイムはプールがメインです。海でのレースの時は、ウエットスーツを着用しないといけないレースがほとんどなので、シーズン前やレース前に試着する目的で海で泳ぐことはあります。

私もみんなが海水浴をしている江井ヶ島や、大倉海岸の沖の方で泳ぎ回ることがあります。


Q.トライアスロンは相当な体力が必要と感じますが、シニアの参加者は居られますか?もしくはそういったマスターズの仕組みはありますか?


木庭:トライアスロンではエリート部門と、エイジ部門に分かれ競技します。

エイジが一般的な市民マラソンの様なイメージの大会で、マスターズの様に年齢5歳?10歳刻みで表彰があります。

スイムが混雑するので、第一ウェーブ、第二ウェーブ、第三ウェーブという様に10分くらいずらしてスタートをします。

スイムが苦手な人は第二、第三ウェーブを選択するか、主催者側が申し込み時の記録を参考にウェーブを決定します。

エイジ部門でも指定された大会で上位入賞者に付与されるポイント獲得者に対して、エイジ部門での世界大会に出場する資格が与えられます。

エリート部門は日本トライアスロン連合が主催する記録会で基準を突破した選手に与えられる、強化指定の認定を受けるか、各県のトライアスロン団体から推薦を受けた選手のみが参加できる部門です。

国体、日本選手権、ジャパンカップといった、国内のツアー戦などがそうです。


Q.結構、参加しやすいように工夫されてるんですね。もっとトライアスロンが身近なものになっていく為にどんなことが必要でしょうか?


木庭:トライアスロンのイメージの改善でしょうか。トライアスロンと言えば、

1 キツそう。
2 筋肉ゴリゴリになりそう。
3 3種目も無理。

というイメージがあると思いますし、各種目を追求してきた人から見れば、どの種目も中途半端で専門性が無いというイメージもあるかもしれません。

男子で言えばトップ選手でも5000mのトラックの記録が15分前後です。陸上競技選手で言えば、速い中学3年生から高校1年生レベル。

ただこれをスイムやバイクの後に行うところに、トライアスロンならではの専門性があると私は考えています。

さらに低年齢層への認知度を広げる事だと思います。小、中学生で好きなスポーツと聞かれて、なかなかトライアスロンと言う回答は少ないのが現状です。

小、中学生の頃からトライアスロンに特化する必要は無いと考えますが、例えばスイムとラン、バイクとランなどといった様に総合的なトレーニングの一環として、複合的にスポーツを取り入れる様なトレーニング方法が身近になればいいと思っています。

その為に指導者が様々なスポーツに興味を持って、それぞれの年代に合った目標やトレーニングメニューを提案して怪我や、燃え尽きを無くす指導が必要だと思います。


Q.地域で陸上競技も教えられているということですが対象はどのような方々ですか?


木庭:現在はトライアスロンに特化した指導は行っていませんが、指導している陸上教室の選手や、知り合いのお子さんなど希望する小、中学生に個別で指導、アドバイスをする事があります。

この時に3種目を通したトレーニングや、将来的なビジョンも伝える様に心がけています。


Q.今後、中長期的な目標はありますか?


木庭:中期的にはバイクの理解を深める事を目標にしています。競泳と陸上競技は競技経験があり、指導方法もある程度理解しています。

バイクを専門的に勉強できる環境で自らトレーニングをして、様々な指導者の方からトレーニング方法を吸収していきたいと考えています。

そして将来的には3競技を指導出来る知識、経験を積み、トライアスロンを通じてお世話になった競技団体への恩返しに繋げていきたいと考えています。


おわりに

今回はトライアスロンのことを中心に伺いました。今後は状況を見てKDA企画におけるトークイベントや教室などで更に深いお話やトレーニング、他のお話も聞ける機会もあるかもしれません。

また、第2弾等も検討したいのでぜひ多くの方にご覧頂き、興味を持って頂ければ幸いです。


インタビュアー:KRC代表 神屋伸行